BDcafe(ベーデーカフェ)

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2009.08.03 Monday ... - / -
#ダビッド・B(ベー)Week:その1『東京工芸大学 ワークショップ』
十月四日(木曜日) 本厚木にある東京工芸大学にて行われた
来日中の『大発作』の著者ダビッド・B(べー)さんのワークショップ(以下WS)に、
実技アシスタントとして参加してきました。
ここで講師をなさっていて、今回の企画をなさった細萱さんとは
BD研究会を通しての知りあいで、その縁で『ブラック・サッド』というBDを翻訳した
大西さんがメイン通訳で、私は実技の時に側について一緒に回り、
ダビッドさんの説明や注意を、よりかみ砕いて補足説明したりアドバイスしたり、
という形でお手伝いしました。

今回の来日でも、翻訳出版されたばかりの『大発作』に関連したインタビューや対談は多かったと思うのですが、
WSで直に彼からBDの描き方を教わったり、アドバイスを受けたりという事ができる機会は、
とても貴重であり、BD(バンド・デシネ)作家を目指す人のみならず、
漫画家として日本のみならず海外も視野にいれて作品をつくるプロを目指す人にとっては、
短時間であってもとても濃密で有意義な時間だったのではないかと思いました。

アシスタントとして参加してみて思ったのは、この手のWSの場合、
著者がプロジェクターなど使って作品を描く行程を移して生徒達はそれをメモするだけ
といった内容がおおいと思うのですが、ダビッドさんがそういう講義では意味がないと、
生徒達に実戦をさせて、それを見ながらアドバイスをするという内容に決めたようです。

どのような講義だったというと、一コマ90分として、ふだん生徒達が扱いなれているSFやファンタジー
といったテーマにも近く、ダビッドさんの作品のメインテーマとして扱われる事も多い、
『夢』について2ページの作品を

1)コンテ(漫画の場合はネーム?)
ごく簡単なメモ書き程度のコマ割りと台詞、人物の配置などが分かる物を短時間(10〜15分くらい)で書く。
ダビッドさんが、自分が持ち歩いているノートのメモ書きを生徒達に見せ手回りながら説明。

この時点でかなり時間を食ってしまい、後半の時間が足りなくなるのですが、みなさんコンテの段階で一コマごとの絵をきっちりと描きすぎるのでその必要はないと注意されていました。
またこの段階で重要なのは、コマの中での台詞(吹き出し)と人物や背景の大まかな配置を自分が分かるように決める(レイアウトする)ことがなのですが、それを意識して出来ている人があまりいなかったので、次の作業で大幅な構成変更などをする場面が多かったですね。
ちなみにダビッドさんのメモ書きは、本当にA6くらいのノートに、線でコマ割りをして、人と分かる簡単なアタリに吹き出しと台詞(これはこの時点でほとんど決まっているようです)というものでした。



2)下書き
コンテを元に、ペン入れする紙に鉛筆で下書きをする。

これが難題で、みなさん中高生時代から漫画を描き慣れている人達ばかりで、ある程度絵柄は出来上がっていて、自分の好きな構図とかポーズとかシーンとか、そういうのはさっさと描けるようなのですが、一コマ一コマに集中するあまり、見開きのページとしての全体の画面構成といった所まで気が回らないようで、多数の生徒達に共通してみられるそういう所は、ホワイトボードを使って全員に分かりやすく説明していました。

具体的には、枠線の上に人物の頭の輪郭線がくっついたような構図の場合、コマの中に圧迫感が生まれてしまい良くないので、多少なりともスペースを空ける事。(BDの場合、特にこのコマの中の世界という物へのこだわりがあるようです)
そうしないと、そのコマのすぐ上に、立った人物が来た場合、コマ枠が離れていても、下の人物の上に上のコマの人物が乗っかっているように見えてしまうので良くない為。

人物のシルエットを画面の中での大きな塊(絵画でいう色のマッスと同様の考え方)としてみると、ページの中で、中心に人物の一が集中してしまうと、そこに縦の大きな塊が出聞いてしまい、画面全体でのリズムが単調になってしまうので、コマの中での人物の配置だけでなく画面全体としての物の配置の仕方にも気を配ること。

読者への見せ方をもっと考え、一つの場面でも、もっと他の角度からみたらどうなるか?といった事を考え、より効果的な構図や場面つくりを考えてみる事。

そして人物を描く時には、たとえ下書きといえども、手先や足先、目鼻口耳といった最低限「人間」として必要なパーツは、どんな小さな物でも手抜きをしないでちゃんと描くこと。そうしないと、宇宙人のような物になってしまい、それを意図した効果としてやるのでなければちゃんと描かなければならない。
(このあたりは『大発作』の後半で、彼自身がBDを習っていた先生に注意されているシーンがあり、なかなか興味深かったです)

それに関連して、人物のコマの中での切り方など。
バストアップなどはいいけれど、関節で切るのは良くない。(机でぐだ〜っと寝ているシーンがあったのですが、机の上に頭だけ乗っかっていて、まるでサロメの首の様な感じだったので、そういう場合はちょっと腕を枕にしているなど、身体の他の部分も入る構図に変えるようにといった具合です)


他にも色々とあったのですが、全体として、意外と既成概念に縛られていて、漫画先進国ならではの現象なのかな?と思いました。

3)ペン入れ
下書きの段階での指導を元に修正できた生徒さんからペン入れ作業。
これがまたダビッドさんにとっては驚きの連続だったようで、ここでも一人一人の生徒さんに、実際に色々と紙に描いて指導してくれました。

ダビッドさんにとって、日本のペン先(Gペン/丸ペン/スプーンペンに限らず)総じて硬いようで、「もっと柔らかいペン先を使って描かないと腕の自由な動きが筆圧に制御されてしまい、柔らかい線の良さが消えてしまう」と、生徒達のペンを何度も使って描いてみせる姿が印象的でした。
ご本人のあの太くて独特の柔らかい線は、筆ペンを使って描いているのだそうで、持ってきていたご自身の筆ペンで、生徒達の描いた下書きやペン入れした画面の上に、薄い紙をあててなぞっては線のタッチを変えただけでもこれだけ印象が変わるから、もっと柔らかく太い線で描くようにとアドバイスしていました。

また、絵柄がほのぼのとした可愛いキャラクターなのに、そこに急に劇画調の斜線で陰を付けていて、それが物の丸みに沿った意味のある入れ方でないというような、技法が混じりすぎて絵柄もタッチも相殺してしまっている生徒達も多く、そういう部分は、いちいち上から紙をあてて輪郭線をなぞった後で、塗りつぶすとか、斜線の入れ方を変えることによって、物の立体感や奥行きがでるようなシャドウの付け方などを説明していました。

総じて新しい技法を学ぶと、それを試したくて仕方なくて、自分の個性や絵柄にその技法が合っているかどうか?を考える前に、とりあえず出来ることは全部やりたいというのが生徒達の今の状態で、それは発展途上においては当然の事で、誰もが通る道なのですが、そこをダビッドさんは相手の個性を否定するのではなく、それを生かすために他の方法を提示して、生徒達自身に考えさせるという指導の仕方で根気強く教えていました。本来なら、ここから先の、ダビッド・Bタッチの独特のスタイルでの仕上げまで行けたらもっと面白かったのかもしれませんが、彼から基本的な事を習うというのも生徒達にとってはとても有意義だったと思います。


今回の講義で画面全体における構図(スペースの使い方)、吹き出しの位置も含めた物の配置とリズムという事に常に重点を置いて下書きを進め、仕上げているのだなという事がよく分かりました。
見開きの画面における無意識に視覚情報としてとらえる構図という事がとても大事で、その無意識に読者が受け取る情報を意識して画面構成をしなくてはならないという話は、ダビッドさん自身が学生時代に学んだ事でもあるのでしょう。
おそらくもっとデザイン(電車の中吊り広告から、雑誌、ポスターと身の回りは全てデザインだらけです)や絵画を見るときに、そういう物の見方をする意識を持つだけでも、少しずつ意識が変わり、それが自分の物の見方としていずれフィードバックして来るでしょう。

午前も90分を軽くオーバーしての指導で、2時からお昼を頂いて、その後再び午後のクラスを指導し、気がついたら外は真っ暗。
外へ出たのは、夕方の6時過ぎでした。
きっと、いつかこの日の授業の事が「!」と分かる日が来ることを期待しつつ、長い一日が終わったのでした。

行き帰りはずっと一緒だったので、移動のロマンスカーの中でも色々な話を聞けて面白かったのですが、作品の印象と違い、とても懐が深く独特のユーモアも持ち合わせた、おちゃめな人でした。
もちろん、すぐにこちらと心を開いてうち解けていたというわけではないのですが、
かといってピリピリとした神経質な所も感じさせず、繰り返される同じような質問にも丁寧に答え、かなりデリケートな話題かな?と思う事でも紳士に対応してくれました。
そういう素晴らしい人柄に直に触れる機会に恵まれて、光栄でした。
細萱さん、ほんとうにどうもありがとうございました。そして一緒に参加した大西さん、お疲れさまでした。
JUGEMテーマ:Bande Dessinee


2007.10.04 Thursday ... comments(0) / trackbacks(1)
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土地投機を規制する通達を止めてバブルの崩壊を止めるというシナリオは確かに一面正しいかもしれないけれど、バブルが崩壊して不景気になってやっと気付いた面も多かったと思うので、劇中の価値観にはあまりついていけなかった。真面目に考えるような映画じゃないんです
| ファンタジーを極める | 2007/10/14 12:34 AM |
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