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2009.08.03 Monday ... - / -
#Saverio Tenuta(サヴェリオ・テヌータ)さんを囲んで:その1「イタリアの漫画事情」
JUGEMテーマ:漫画/アニメ


テヌータ

先日、某所での定例のBD(ベーデー/バンド・デシネ/フランス語圏の漫画)の会合で、丁度来日中だったイタリアのBD作家:Saverio Tenuta(サヴェリオ・テヌータ)さんと同じくローマのScuoula Internazionale di Comics(国際コミックス学校)の教師の奥様とその学校の優秀生徒さん二人と、彼をMANDALA 2007 Vol.01のイタリア作家編で紹介なさったY.Mさんを招いて、イタリアのコミックス事情からテヌータさんの作品作りの話、生徒さん達がどうしてBD(イタリアではfumetti(フュメッティ)といいます)作家を目指し学校へ入ったのか?などのお話を伺いました。
ヨーロッパのBD業界とおおざっぱにくくっても、実はそのメインはフランスとベルギー、ついでスイス、ドイツといった感じで、イタリア人作家はいても実はイタリアの業界事情についてはほとんど情報がなく知る機会も無かったのでとても有意義な時間となりました。
貴重な情報でもあるので、憶えている限りのことを書いておきましょう。
長くなるので、とりあえず最初は「イタリアの漫画事情」から。。。テヌータさんについては次回書くことにします。

『イタリアのフュメッティ事情』

イタリアには【ボネッリ社】と【ディズニー・イタリア】という大手のフュメット出版社が二社あるだけで、いわゆるイタリア発の出版物としてイタリア国内で発売されるのはここの2社からしかないようです。

【ボネッリ社】はイタリア唯一の漫画専門の出版社で、キオスクなどで売っているモノクロの漫画雑誌を出版しているクラシックなタイプの漫画を出版している出版社で、定着した作家がいるので新人が入り込む余地はあまりないようです。

【ディズニー・イタリア】はディズニーのキャラクターを使った漫画を専門で描くところなので、自分の個性を生かした作風というのは作れないようです。

4〜5年前から同じくMANDALAで紹介されたIgort(イゴルト)さんが設立したcoconnino press(ココニーノ・プレス)という出版社がオルタナ系というか、アーティストの個性を生かしたアーティスティックな作品を出版するようにはなったものの、ここはイゴルトさんのお眼鏡にかなった作家を選ぶので、それ以外の作風となるとなかなか難しいし、大手ではないので、基本的にはフランスかアメリカ等国外の出版社から出版を目指すしかないのが現実らしいです。

【エウラ社】
最近でてきた出版社(くわしく経緯を憶えていません)だが主に安くすむアルゼンチン作家の作品を中心に出版しているので、イタリア人の新人作家がとりあえず一冊出版したいという経験の為のデビューの仕事としてはいいが、生活をしていくには苦しいのと、ここもやはり自由には描けないらしいです。
なぜアルゼンチンの作家を使うかというと、アルゼンチンの政治状況が不安定で仕事が出来なくなったため、アルゼンチン作家の多くが、アメリカやヨーロッパへ仕事をもとめてやってくるからだそうです。

『フメッティはどのようにして作られるのか?』

これがなかなか面白くて、完全に分業なんだそうです。
つまり原作者(ストーリー専門に書く作家)/下描き専門の人/ペン入れ専門の人/カラーリスト(色付け専門の人
の4つに別れていて、下書きの段階でキャラクターのペンタッチなどもほとんど決まってしまうので、ペン入れの人は指定どおりのタッチでなぞるだけ。
色付けの人も指定どおりの色を付けてゆくといった感じで、「まるでミケランジェロの工房みたいですね」と言ったら「そうよね」と笑っていました。
たぶん手塚プロや石の森章太郎さんといった方々も同じような方式で大量の作品作りをなさっていたと思うのですが、こういう分業の仕方というのはアメリカのアニメーションの作り方の影響が大きいのではないか?と、今こうしてまとめながら書き起こしてみると思いますが、当日はそんな事を質問する余裕もなく残念でした。

「女性作家はいるのですか?」と質問したところ、「それは作画(下絵)の人ですか?カラーリストの人ですか?」と逆に質問で返されてしまいました。
質問者は普通に日本の少女漫画やとか女性漫画家のような作家がいるのか?というつもりで質問したのですが、イタリア人にしてみれば、それは分業の中の職人に女性がいるのか?という質問だと思ったのですね。
もちろん女性でフメッティーにかかわる仕事をしている人はいるけれど、日本やヨーロッパでイメージするような、女性で自分が原案を考えペン入れもする作家はまだほとんどいないようです。
というよりも、そういう作家自体がアーティスティックな作品を描く人以外では、イタリアにはほとんど存在しないようですね。

『フメッティの流通事情』

主にスターコミックスとペガサスという大手の配本会社(日本だとトーハンとか?)2社が全国区で配本しているので、そこにのって1万5千部発行しないと全土には回らないそうですが、イタリアではフュメッティーは漫画専門書店でないと手に入らないそうです。
どうりで春先にベニスへ旅行した時にも、普通の書店や空港などにはイタリア語訳したBDやアメコミはあれど、イタリア人作家のフュメッティーが見つからなかったわけですね。
しかしその書店も全国で1,000弱しか無いそうで(多いような気もするけれど、少ないのかな?MANDARAKEってどのくらいあるんだろう?)す。
そのかわり、新人にはネットで作品発表→出版デビューというラッキーな道をたどった作家もいるようで、これからはそのルートで世界的にデビューを目指す作家も増えるかもしれませんね。

『漫画雑誌の発行とその顛末』

イタリアでもフメッティーバブルの時代があったようで、1978年頃に7タイトルの漫画雑誌が発行されたそうですが、いずれも5年ほどでなくなってしまったそうです。
いろいろな要因が考えられるのですが、

●アメリカ(アメコミ)や日本の「漫画」の出版
やはり「グレンダイザー」がTV放映され、当時は今よりもチャンネル数がすくなかったのですが、イタリアはUHFは発達していてそこに日本のアニメ専門のチャンネルがあり、そこで日本のアニメが放映されてからアニメブームがおこり、やがて「MANGA」ブームへとつながっていったようです。
●キャラクターの魅力の乏しさ
アメコミや漫画のようなはっきりとしたキャラクター作りという事はしないようで、ファンが定着しづらいようです。
●一ヶ月待てない
●1タイトルの為に雑誌を買いたくない
自分が読みたいのは「●●」だけなのに、一話が短い上に他のいらない作品も載っている雑誌の為にお金を出したくないというシビアな事情があるようですね。
●カラーなので原稿料が高い
確かに、モノクロならともかく、オールカラーだとそれなりの料金になってしまいますね。

といった事情から自然消滅し、以後復活してはいないそうです。

ここまでが前半の部分です。
イタリアでは作家デビューの道が少ないのに、なぜ漫画学校などが存在するのか?というのは不思議な感じがしたのですが、アニメーションやグラフィックも教えているし、卒業生にはフランスの出版社で作品をみてもらえる機会を作るなど、とにかく手に職をつけて仕事につけるようにするというのが学校の考え方なので、そのあたりはEUの統合がいい方向で働いているのではないかと思いました。
とにかく熱く語り、質疑応答も熱の入った会だったので、通訳も務めてくれほとんどのイタリアの出版事情を説明してくれたY.Mさんに感謝です。

テヌータさんについてのお話は、また近いうちにまとめて書くようにしますが、とりあえず今回はこの辺で…

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