BDcafe(ベーデーカフェ)

RECOMMEND | CATEGORY | ARCHIVE | LINK | PROFILE | OTHERS
#スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

2009.08.03 Monday ... - / -
#岸辺露伴ルーヴルへ行く
JUGEMテーマ:漫画/アニメ

『ジョジョの奇妙な冒険』の第4部のキャラクター:岸部露伴(スタンドは「ヘヴンズ・ドアー」の漫画家)がルーヴルへいくという設定で、ルーヴルが企画しているルーヴルをテーマにしたBDのシリーズの新作描きおろしを荒木飛呂彦先生が担当する事になり、過去のこのシリーズの作家達(ベルナール・イスレール、エリック・リベルジュ、マルク=アントワーヌ・マチュー、ニコラ・ドゥ・クレシー)とあわせて展示される事になったらしいです。
このシリーズは、ルーヴルをテーマに描く事意外の指定はないらしく、各作家達は自由にストーリーをふくらませた作品を作っています。巻末には作中に使われた作品の簡単な説明とどこに展示されているかなどものっていて、ちょっとしたルーヴル美術館ガイドのよう。
BDの仕様やサイズも自由らしく、正方形だったり、観音開きだったりとなかなか見応えもあります。
会期はGW前の四月十三日までのようですが、荒木先生の作品はたぶん年内発行という感じなんじゃないでしょうか?
BDと同じような仕様となると、オールカラーになるのかもしれないから、それだとたぶんかなり大変な事になるんじゃないかとムッツリアニー
あ、でもヘヴンズ・ドアーで「期限までに仕上がる」って書き込んじゃえばいいのか?

詳しくは、コミックナタリーの記事か、ルーヴル美術館の記事でどうぞ!
最近、にわかジョジョファンなので、タイムリーで嬉しい話題でした。

2009.02.15 Sunday ... comments(5) / -
#"Pif gadget" met la clef sous la porte
JUGEMテーマ:Bande Dessinee

pif gadget
"Pif gadget" met la clef sous la porte(『ピフ・ガジェット』引っ越す)
という記事が1月22日のル・モンド紙に載っていました。
ざっと訳すと、
1969年 フランス共産党の庇護のもと創刊された伝説の雑誌で、70-80年代の社会現象となった『ピフ・ガジェット』が、1月21日に裁判上の清算の手続きをとる事になった。
2007年2月より会社更生法の適用を受けていた、子供向けの伝説的なBD(バンドデシネ)雑誌を出版していたピフ・エディションは、2009年1月15日 清算処理を開始したとボビニー裁判所はプレス・ニュースの公式文書を確認した。同社には6人の従業員がおり、その大幅な赤字は4百万ユーロにも上ると付け加えられた。
『ピフ・ガジェット』は平均50万部という、他に並ぶ物がない程の発行部数があったが、1993年には一時期消え、2004年にピフ・エディションという出版社のもと復活した。プレス・ニュースによれば、平均10万部ほど発行されていた。『ピフ・ガジェット』のメインキャラは犬のピフで、キッチュな自分で組み立てるおもちゃや " target="_blank">『pifises(ピフィッス)』という小動物育生キットなどがおまけ(ガジェット)としてついていた。
この『pifises(ピフィッス)』って、日本でもたぶん雑誌のおまけについていた小さなプランクトン育成キットのものと同じなんじゃないかと思います。
アルテミア・サリナっていう小型の甲殻類みたいですね。


タイトルの<met la clef sous la porte>はあえて「引っ越す」と訳しましたが、文脈からするとこれは会社更生法の適応されましたって事なのかな。
文中にもa été placée enという言葉を使って、「清算」という意味で書かれているのと、写真のようなお手紙でお知らせみたいなかわいいユーモアで最後までチャーミングに幕を引きたかったのかなと思ったので、こういう訳にしました。
でもたぶん会社が無くなっちゃって、事実上倒産って事なのかも。。。

フランスに旅行すると、子供達が翻訳されたMANGAを普通に読んでいるのを目にして、もう子供の頃からドラえもんとかコナンとか読んで育っているんだなと思うと、なんだか不思議な感じです。
私は子供の頃に、ハンナ・バーバラのアニメとか視て育ったから、それと同じような物かもしれませんが。
今のフランスの子にとっては、Pifっていう犬の方がなじみがないのかもしれませんね。
そのうちアステリックスも知らないフランス人が普通に増えてくるのかもしれませんね。
2009.01.22 Thursday ... comments(0) / -
#アテネの春のBDクラスは休講です
JUGEMテーマ:Bande Dessinee

ご存知の方は少ないと思いますが、東京はお茶の水にあるアテネフランセにはBD(バンドデシネ)を教材にしたクラスがありました。
レベルは中級くらいで、授業はフランス語で行われるのですが、一学期に一冊というペースで進むので、一人では読めないと思っていても、毎週授業があるからと辞書をひきつつ通っていると、3ヶ月で一冊読めてしまうんですね。
テキストは、全学期の終り頃に先生が「来学期はこういうのをやろうと思っているんだけれど」と何冊か候補をあげてくれて、その中から生徒達の意見や要望も聞きつつ選ぶという感じで選んでいました。
自分が読みたいBDや興味のあるバンドデシネを推薦する事もできとてもいい授業でした。

が、残念ながら、今学期は生徒が定員に達せず休講となってしまいました。
一人で辞書を引きながら読むのと、その場で細かい表現のニュアンスや、背景を説明してもらいながら読むのとではやはり読み込みの深さが違い、自分にとってはそれだけ思い入れ深い作品になるんですね。

春になって、新しい生徒さんが増えて、再開されるといいのですがアニー

2009.01.12 Monday ... comments(3) / -
#SAMURAIの作家さん達と親睦会
JUGEMテーマ:Bande Dessinee

侍作家
来日中の『SAMURAI』という日本の戦国時代を舞台にしたBD(バンド・デシネ)の作家さん:シナリオライターのジャンーフランソワ・ディ・ジョルジオさんとイラストレーターのフレデリック・ジュネさんを囲んで飲み会があり、誘っていただいていたので参加してきました。
リンク先のページの
>>>Découvrez les 6 premières planches de cet album:
という表記をクリックすると、pdfで最初の6ページを読む事ができます。

お二人とも背丈があって、フレデリックさんの方は190cmもあって、居候しているお家の鴨居に鼻をぶつけてしまうと笑っていました。
お二人とも日本の文化に興味があり、宮本武蔵や『バガボンド』黒沢映画などが好きで、それまではSF物を描いていたんだけれど、新たに何かやろうと色々と企画をしていて、二人とも日本文化が好きだから日本の侍ものでいこうという事になったらしいですね。

SAMRAI背景などの資料は、映画やネットで探した画像などを参考に描いているそうですが、かなりリアルに描き込んでいるので、1ページ描くのにそうとう時間がかかると思いますね。
線は手描きで、それをスキャンしてフォトショップで彩色という書き方だそうですが、どうしてそういう描き方に至ったかというと、2001年くらいにフレデリックさんが某社へ売り込みに行った際に、手描きでかなり派手な色を塗ったイラストを持って行ったら、「こんなんじゃダメだ。色はPCでつけないと。」と言われ、それいらPCで彩色をしているそうです。
ちょうどその頃がフランスで本格的にPCでデータ入校というシステムを導入し始めた頃らしいですね。
手で着彩をしてしまうと、後で色を変える時に全部描き直しになってしまうし、自分で色んな加工が簡単に完璧にできるから、PCの方がいいんだと話していました。
(SAMURAIのカラリストは別の人がやっていますが。。。分業になるとよけいに「ここはもうちょっとこんな感じ」とかなるんでしょう。)

お二人の日本好きは落款もどきを作るまでになって、表紙の右下をよく見ると、
「紀」=ジャンーフランソワさん
「描」=フレデリックさん
の印があります。
着物を着る機会はなさそうだけど、旅館の浴衣を着て、靴べらを刀がわりにポーズをとったり、食事をデジカメにおさめたりと、ニッポンの異邦人をすっかり堪能しているようでした。

帰り際にジャンーフランソワさんに「最近『ギャラリー フェイク』という漫画が好きなんですよ」という話を、同席していた『ブラック・サッド』の翻訳者のOさんとともに説明すると、設定に大変興味を持ったようで「そのMANGAのタイトルは聞いた事があったけど、とても面白そうだね。フェイクアートといえば、ダリのこんな話を知っている?」と、出生に関する面白いエピソードを話してくれました。
ダリには死んだ兄がいて、兄を溺愛していた両親が兄と同じ名前をつけ溺愛して育てられたそうで、ある日自分と同じ名前の墓碑を見つけ、自分の存在意義を証明する為に過剰なまでの自己愛が発達し、またフェイクという概念に生涯取り付かれたのではないか?という話。
ヨーロッパはキュレーターの本場。
いずれはキュレーターがらみのアートサスペンスとか描いてくれないかな〜
とても感じの良いお二人と、楽しいひと時が過ごせました。



2008.10.19 Sunday ... comments(0) / -
#「フランス語圏のマンガ―バンド・デシネの歴史と展開展」
JUGEMテーマ:Bande Dessinee


「フランス語圏のマンガ―バンド・デシネの歴史と展開展」

■期 間
2008年10月11日(土)〜2009年2月11日(水・祝)
※12/29(月) 〜 1/3(土) : 年末年始により休館
※1/19(月) 〜 22(木) : メンテナンス作業により休館
※2/11(水・祝): 祝日の水曜日のため開館

■料 金
無料。ただし、京都国際マンガミュージアムへの入館料として大人なら500円かかります。


黒子としてお手伝いをさせていただいていた京都国際マンガミュージアム(以下 MMと略)でのバンド・デシネの展覧会が開催中です。
企画の段階から東京チームとして参加していたのですが、なにせ展覧会の企画なんて素人なので、東京チームに参加してくれた元MMの関係者のAさんの大人なアドバイスが心強く、なんとか最近のバンド・デシネを紹介したいという意図は伝わるような展示になったのではないかと思います。
様々な文化の違いに翻弄されつつも、なんとか幕を上げる事ができる状態になったので、結果オーライって事で。
開催期間も長いので、お近くにお寄りのさいは、お立ち寄りください。
感想などおきかせいただけるとありがたいです。
2008.10.12 Sunday ... comments(0) / -
#euromanga ユーロマンガ VOL.1
JUGEMテーマ:Bande Dessinee

ユーロマンガ 1
BDファン待望の、BD(バンドデシネ)を4作品、連載形式で掲載する季刊誌、『euromanga ユーロマンガ』が発売されました。
掲載作品は、巻頭から順に…
CANEPA&BARBUCCI(カネパ&バルブッチ)『SKY.DOLL(スカイ.ドール)』
MARINI&DUFAUX(マリーニ&デュフォー)『RAPACES(ラパス)』
GUARNIDO&CANALES(ガルニド&カナレス)『BLACKSAD 3(ブラックサッド3)』
NICOLAS DE CRECY(ニコラ・ド・クレシー)『BIBENDUM CELESTE(天空のビバンダム)』
の4作品。
中でも、今までイラストだけ気に入って買った物の、内容は読めなかったというファンが多いであろう、ド・クレシーの『天空のビバンダム』や、2巻までは翻訳が出ていた物の、続きが本訳されていなかったガルニド&カナレスの『ブラックサッド 3巻』は、ファン待望の本訳と言えるでしょう。
そして今回始めて訳される、キュートなセクサロイド(っていうと、松本零士を思い出しますが)が主人公のカネパ&バルブッチの『スカイ.ドール』やバンパイヤ一族の復讐を巡るな謎の殺人を追う女刑事のゴシックサスペンス、マリーニ&デュフォー『ラパス』の2作品も読み応えがあります。
巻末には、日仏学院で行われた、ド・クレシーと細萱さん(東京工芸大学マンガ学科淳教授との対談の一部も収録されているので、当日行かれなかった人には、こちらも貴重な資料となるでしょう。
贅沢にもフルカラー、BDサイズで刊行されたこの雑誌。
¥1,575(税込み)はかなりお買い得です。

ハサミーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーキリトリーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーハサミ

と、知り合いが多数かかわっているので、思いっきり宣伝モードで書きましたが、その分色々と気になる事もありました。
まず、誤植や図版のキャプションミスが多い事。
これは単純に校正ミスなのですが、編集がもう少しきちんとしていれば…という部分が多いので、とても残念です。

そして、これはあくまでも感覚の問題ではあるのですが、デザインのツメが甘いというか、文字ヅメがもうちょっとなんとかならなかったのかと…
表紙の文字ヅメがあまりにもバラバラで、見た瞬間に猛烈な違和感があるんですね。
(同じような事を、以前、ダビッド・Bの『大発作』の時にも書きましたが)
仮にもビジュアル本を名乗って売るわけですから、デザインの問題は、特に表紙はもっとチェックした方がいいのではないかと思います。
表紙のレイアウト自体は、フランス人好みのシックな部分を残しつつ、インパクトをだそうという意図が伺えるので、シリーズものとして刊行する雑誌としては、図版を差し替えてデザイン出来るようにというものだと思いますが。

次号からは、このあたりをもうちょっと詰めてやっていったら、より良い物になるのではないでしょうか。(かなり期待しています)

色々と書きましたが、そういう部分を差し引いてもBD専門の雑誌を、広告ゼロで出版したという事には大きな意義があり、この先も続けて出して欲しいと、一BDファンとして強く願います。

2008.09.18 Thursday ... comments(0) / trackbacks(0)
#太陽高速 バル
JUGEMテーマ:Bande Dessinee


太陽高速
『太陽高速』(原題:AUTOROUTE DU SOLEIL)バル(BARU)翻訳:長谷川たかこ 1995年発光 講談社 モーニングKCDX

今回紹介するバルの『太陽高速』は、日本語で読めるBD(バンドデシネ)。
もともとは講談社のモーニングが海外の漫画、BD(バンドデシネ)を紹介する事に力をいれていた頃に連載、出版された、日本向けに書き下ろしされた作品です。
今でもヤフオクなどで時々出品されていて入手可能なので、日本語でBDを読みたいという方はぜひ探してみて下さい。

BARU;Barulea, Hervé は1947年生まれのフランス人。
もともとは心理学を教え、やがて30を過ぎてから、BD作家としてのキャリアをスタートさせた作家である。
発想の原点は、青年期の60年代にフランス各地を旅した経験である。
そこには独特の乾いたユーモアがある。
今回紹介する『太陽高速』は漫画スタイルのBDとして、フランスでも高く評価され、l'Alph-Art du Meilleur Album Original en Langue Française'(アルプーアート フランス語オリジナル最優秀アルバム賞)を1995年に受賞し、これによってバルの知名度が高まった。

ストーリーは、70年代、フランスでは製鉄所の経営が傾き、今日も一機破壊され閉鎖される事となった。
製鉄所の労働者達のほとんどは移民達で、このため外国人排斥運動を推進するフランス国民党のかっこうの餌食となり、地方ではあちこちで暴動が起き、アラブ人や皮膚の色の違う人種が暴行を受けていた。
主人公のカリム・ケマルはアラブ人の色男で、金持ちのマダムの相手をしては町でぶいぶい言わせている、50年代スタイル(ロカビリー?)をこよなく愛する、車馬鹿でもある。
相棒となる、アレクサンドル・バルビエはイタリア移民の子供で、鼻がでかく眼鏡をかけた、まぁ醜男。本人もそれがコンプレックスで、実は巨乳好きなのだが、いまだに軟派ひとつ出来ず、カリムに憧れている。
そんな二人が、最新式の町で一番大きな溶鉱炉が破壊された日に出会い、カリムがその日お相手したマダムが、外国人排斥運動を推奨するラウル・フォリシエという町の実力者の医者。
そのため、二人はフォリシエの狂気じみた人生をかけた執拗な追跡を受ける事となる。

メインは二人の逃亡劇なのだが、フォリシエがだんだん妻をアラブ人に寝取られたというダメージから精神が崩壊してゆき、ついには彼らを追いつめ苦しめる事が目的となり、幾度か二人を追いつめるたびに「今は殺さない。だが、いつか自分は殺されると怯えながら、その日まで生き続けろ」と逃してしまう。
そのあたりの追うものと追われるものの心理描写がかなり丁寧に描かれている。

もちろんユーモアもあり、最初の逃亡の時に、浮気をしていて車を盗まれてしまうルネ・ロワゾウとのエピソードは、後半への伏線でもあり、かなりいい味をだしている。
ルネとカリムとの関係も、車馬鹿という共通の趣味から、いつしか年の離れた友人のような関係へと発展するのだが…

一般的に、BDは読みづらい、感情移入がし辛いと言われていますが、これは展開の上手さと70年代のヌーヴェルバーグのような荒っぽさがあり、読み始めると一気にぐいぐいと先を読みたくなる面白さがあります。
登場人物、特にフェリシエが狂気に走って行く過程も面白いのですが、同時に、当時から今もまだ続く、外国人排斥を訴える過激な政党やセクトの存在。
そういう部分は、今読んでもまったく古さを感じず、私たちがフランスに大して漠然とイメージしている、移民を受け入れる国というイメージが、いかに表面的だったかという事を考えさせられます。

おまけとして、翻訳をなさっている長谷川たかこさんの主催しているブログFrench-codeがこちらです。
漫画家の長谷川町子さんの姪っ子さんなんですね。
2008.09.18 Thursday ... comments(0) / -
##『LE COMBAT ORDINAIRE(ありふれた戦い) 2.LES QUANTITES NEGLIGEABLES(忘れ去られた人々)』MANU LARCENET(マニュ・ラルスネ)
JUGEMテーマ:Bande Dessinee


comba2

『LE COMBAT ORDINAIRE(ありふれた戦い)2.LES QUANTITES NEGLIGEABLES(忘れ去られた人々)』 (リンク先の画像の所をクリックすると、本文を少し読む事ができます)

C'est l'histoire
d'un photographe convalcent,
d'un genie mediocre,
d'un cargo qui sombre,
et du cheval de Zorro.

これはある回復期にある写真家と、
凡庸な天才と、
陰鬱な貨物船と、
ゾロの馬の話である。


1巻で、恋人、愛猫、そして年の離れた友人との別れを体験した主人公のマルコのその後の物語である。
恋人のエミリーとは仲直りをし、一緒に暮らすようになるものの、相変わらず結婚する気も子供を持つ気もないマルコ。
弟夫婦に娘が生まれたことから、ますます子供を欲しがり、二人で暮らす広い家へと引っ越したがるエミリーとの仲もなんとなくぎくしゃくしている。

そんな時、パリの友人のギャラリーで、偶然居合わせた憧れの著名な写真家:ファブリス・ブランと合同展を開けることになったマルコは、すっかり有頂天で自分の生まれ育った港の造船所:アトリエ22をモチーフに、そこに勤める父の元同僚達のポートレイトを撮り始める。

造船業という下降をたどる一方の場所で働く家族のような父の元同僚達が直面している労働問題。低賃金で働く移民達に仕事を奪われ、極左思想に傾く一部の人の姿を目の当たりにしてショックを受けるマルコ。
父のアルツハイマーもかなり進行し、そんな父を気丈に支える母の姿に自暴自棄になり深夜の繁華街を徘徊してしまう。

今回も、様々な出来事がマルコを精神的に追いつめてゆき、自暴自棄になってしまうのだけれど、後半の合同写真展での出来事のあたりの反応を読むと、以前よりは精神的に強くなり、怒りをぶちまけるだけれなく、上手くコントロールできるようになってきているようです。

サブタイトルの「LES QUANTITES NEGLIGEABLES(忘れ去られた人々)」とは、アトリエ22で働く造船所の人々の事で、彼等のポートレイトは知人達にとっては素晴らしいものでも、世間一般の人々にとっては魅力的でもなく、まるで奇形のような姿にしか映らない。
つまり取るに足らない、いてもいなくてもいい人という事。
二人の家へ郵便を早朝に配達にくる、陽気な郵便配達の女性もなかなか良いキャラで、誰も心に孤独を抱えて生きているという事がわかるエピソードがあります。
前回に続き、ご近所の父のもと戦友の老人もちらっと出てきますが、こちらとの仲直りはまだ難しいようですね。
裏表紙に書いてある解説の「et du cheval de Zorro.(ゾロの馬の話)」については、読んでからのお楽しみ。

今回は身近な人物の死というリアルなテーマに真っ正面から取り組んでいて、誰にでもいずれは訪れる出来事として深い余韻を残します。
自分が生きている内に出来ること。
愛情表現というのは、結局自分を擲って相手に分かりやすい形でなさなければ、理解してもらえないものなのかもしれません。
それが少しずつ分かってきたマルコがこの先どういう風に変化をしていくのか楽しみです。
2008.07.13 Sunday ... comments(0) / trackbacks(0)
#『LE COMBAT ORDINAIRE(ありふれた戦い)』MANU LARCENET(マニュ・ラルスネ)
JUGEMテーマ:Bande Dessinee




『LE COMBAT ORDINAIRE(ありふれた戦い)』 (リンク先の画像の所をクリックすると、本文を少し読む事ができます)
MANU LARCENET (Manuさんのブログです。いろいろあって面白いです。トトロがすきなのね)

C'est l'histoire
d'un photographe fatigue.
d'une fille patiente,
d'horreures banales,
et d'un chat penible.

これはある疲れた写真家と、
辛抱強い娘と、
ありふれた憎悪と、
そして痛ましい猫の話である。

BDの背表紙に書かれているこの文が、このBDのすべてを物語っている。

//////////////////////////////////////////////////

そろそろ30に足がかかっているであろう写真家のマルコは、長年通っていた精神科のセラピーをやめる決心をした。その足で、パリ郊外に住む弟の家を訪ね、とりとめのない馬鹿話しとゲームとドラッグで子供の頃のように夜更かしをし、翌日は港町(おそらくはブルターニュ?)に住む両親をたずねた。
かつては高速道路を運転するのが怖くてたまらなかったが、セラピストに「棺桶にのって猛スピードで疾走するのと同じ事だから怖くて当たり前」といわれ、セラピーなんてバカバカしいと見切りをつけ、今は普通に運転できるようになった。

マルコは両親と、特に父親と上手くいっていない。どう接していいのかがよくわからないから、会うと考えただけで気がめいってしまうから、精神安定剤を飲んでから玄関をノックする。
庭で一日中、沖を通る船の行き来をながめている父親は、片目と足が不自由で、惚けが始まったかと思うようなドキッとする冗談を言ってはマルコを心底驚かせる。
母親はいつまでも彼を子供扱いし、子供の頃好きだった料理を作り、仕事の心配をし、お小遣いは足りているか?と帰り際まで聞いてくる。
そんな平凡そうな両親でも、戦争の話しとなると「話す事なんかまったくないよ!」と語りたがらない。

翌日、長いドライブを経て田舎にある自宅へもどると、待ちくたびれた愛猫:アドルフはご機嫌斜めで思いっきりマルコの顔を引っ掻き、外へと出かけてしまう。
仕事部屋に入り、壁いっぱいにはってあった仕事の写真(どうやら戦争報道カメラマンのようである)を全部剥がして袋に無造作にしまってしまう。
仕事も長期休暇と決め込んで田舎にこもって数ヶ月がすぎたものの、なかなか思い通りの写真はとれず、編集者からの仕事の誘いの電話もつれなく断ってしまう。
そして深夜に起こる発作。
いつ、どこで起こるか分からない、原因も不明のこの発作。
しかし名前を付けられずとも、それを受け入れともに生きていくと決めるとなんとなく安心するものである。

そんなある日、いつものように猫をつれて森の中を散歩しながら写真をとっていると、そこの所有者であるという感じの悪いドーベルマンを連れた男が現れ、アドルフが噛まれてしまう。
憤るマルコに対し、「ここは自分の私有地であるから勝手に入り込んできた方が悪い。次にみつけたらどうなるか責任はもてないぞ!」と恫喝する男。
すっかりパニックを起こし、逃げていったアドルフを探すマルコに、優しそうな老人が「この猫はあんたのかね?怪我をしとるみたいだから、医者に連れて行った方がいいんじゃないかね?」と猫を連れてきてくれた。
礼もそこそこに都心の獣医のところへ。
そこで出会ったかわいらしい女性の獣医:エミリーに一目惚れし、思わず「写真を一枚撮らせてください」と頼むマルコ。

それから数日後。過去の写真を整理してから写した写真はこれを入れて二枚だけ。
編集者からもクビを言い渡され、まったくいいことはない。
野原で一人怒りをぶちまけていると、アドアルフを助けてくれた老人があらわれる。
酒を勧められ、自己紹介するでもなくなんとなく止めたばかりの写真の仕事の事を自嘲気味に語るマルコに
「生まれ変わらなくてはいかんよ…」
老人の一言が胸に響く。
老人と別れて家へもどると、そこへはアドルフのその後の状態を心配してエミリーが訪ねてきていた。
少しずつ動き出すマルコの日々は…

////////////////////////////////////////////////

ここまでが前半部分で、この後エミリーと恋人同士になり、老人ともある種の友情のような関係を築き始めるマルコであったが、「ハリネズミの憂鬱」のようなマルコの精神構造は、誰かと親密になりたいと思ってもある一定のラインを超えると相手を傷つけてしまう。
エミリーと週末だけ一緒に暮らす日々が続き、「そろそろ一緒に暮らさない?」といわれただけで恐れおののき不機嫌になってしまう。
そして名前も過去もかたらず、写真を撮られる事もこばむ老人の過去が自分の父親と関係があり戦争とも関係があったと分かった時に、ついに押さえきれない怒りの感情が爆発し、すべてを壊してしまうマルコ。
他の人よりも繊細で、自我が強く、死という観念に対する恐れとともに死の風景に魅せられているような所もある。
セラピーに通い、時々発作も起こすが、決して特殊な人間の話ではなく、どこにでもいる普通の人間の話である。

最後に絵柄についてもふれると、一見シンプルな線で雑に描かれた絵のようにみえるけれど、実に表情豊かな、伝わってくる絵柄なのだ。
文字で受け取る情報もあるけれど、このBDは画面全体からうける印象と文章とのバランスがとてもよくて、絵(この場合、イラストの線だけでなく、色の使い方、構成などトータルな意味で)によって助けられる部分が非常に多い。
おそらく文章だけで読むと、それほどは感動しないかもしれないけれど、ゆっくりと画面の隅々まで眺めながら、時に前のページにもどったりしつつ読むと、作者の言わんとするニュアンスをしっかりと受け止める事ができるだろう。

なおタイトルは、とりあえず日本語に訳しましたが、読み終わった今でもこれと納得できる日本語がうかびませんので、(仮)という事で読んでおいてください。
これ、ぜひとも日本語に訳したいBDです。
なおこのシリーズは4巻まで出ているみたいです。

2008.03.27 Thursday ... comments(0) / trackbacks(1)
#ニコラ・ド・クレシー講演会と『老人と鳩』の上映
JUGEMテーマ:漫画/アニメ

2008年3月6日〔木)19:00〜
ニコレ・ドクレシー サイン
フランスB.D.界の巨匠の一人、ニコラ・ド・クレシーの講演会とアニメ『老人と鳩』の上映 
へ行ってきました。(日本語の解説を探したのですが見つからなかったので、とりあえずアマゾンにリンクしときます。)

ご本人は現在京都のヴィラ九条山に長期滞在中で、その滞在記はこちらで観ることができます。
ひたすら目に写る物を写しスケッチしているのが伝わってきますが、その写真をみていると、彼のマテリアルやテクスチャーに対するこだわりを感じます。
風景全体というよりも、そこに浮かび上がる文様のようなものに興味がある感じで、この感覚は初期の作品から様々な手法での絵画的表現を模索し続けている彼ならではの感覚ではないでしょうか。
私自身も、何度もペンキを塗り直しては流れて風化した木製のドアとか、葡萄の木の木肌の荒々しさとかに惹かれるので、その「時の流れによって描かれた(作られた)」物に惹かれるという対談での彼の答えにも非常に共感を憶えました。

一部は『老人と鳩』の上映。
これ、『ベルヴィル・ランデヴー』のDVDに同時収録されていたようなので、観たことがある人も多いかもしれませんが、なかなかひねりがあって、色々と解釈できる面白い作品でした。
********************************************************************
 観光地パリはエッフェル塔の前で記念の8mmを撮るアメリカ人観光客の親子。
そこにを通りかかる痩せ細り目ばかりがぎょろりとした警官。
いつもお腹を空かせていて、カフェで他人が食べるサンドウィッチを穴が開くほど凝視したりと尋常ではない様子。
いつものように公園を見回っていると、丸々と太った鳩が沢山いる。
隠れて観察していると、老婦人がケーキを与えている。
こっそりと後をつけ、アパルトマンを確認し帰宅する警官。
部屋は屋根裏で薄汚れていてゴキブリが這い回っている。
夕食は前日の残りの魚を1/4だけ。
ふと窓の外を観ると丸々と太った鳩が覗いている。
その中の一羽を捕まえ頭以外の羽根をむしった彼はふとある事を思いつく。

そうだ、鳩のカッコをすれば自分もあの老婦人から餌がもらえるかもしれない。

ある日意を決して鳩そっくりのかぶり物を造り、それを被って老婦人の部屋を尋ねた警官は、その日から鳩になりすまして、毎日のように食事をねだりにゆく。
********************************************************************
その後の展開は観てからのお楽しみなのですが、老婦人が部屋の中を布のスリッパみたいなのを靴の上に履いて摺り足で床磨きしながら歩くシーンを観て、「ああ、スノッブな生活をしていた人だったのね〜」と可笑しくなる。
で、終わってからも「あのスリッパみたいなのってなんていうんだっけ?」という話をフランス生活が長かった人達としていたのだけれど思い出せず。。。
ああ、気になる。
あのシーンであの老婦人の人格が分かる人には分かる、かなり笑えるシーンなんだけどね。
サインするドクレシー上映の後は、ド・クレシーと細萱さんとの対談。
旅行記を中心にこれまでの作品についての説明と、彼の作品の特徴でもある
●太った人について
特に意識していない(というのは彼のユーモアだと思うけど)けれど、言われてみれば太ったキャラクターが多いかもしれない。

●キャラクターについて
意外にも(失礼)かわいいものが好きらしい。Qooとかモリゾーとキッコロとか、そういうものにも惹かれていたみたいです。

●使用画材や制作方法などについて
色々な方法を試しているみたいで、コンピューターでの着彩も試したけれど、やはり手でつけるのがいいみたいです。
たぶんマテリアルの手触りが伝わりやすいからかな。

その後の客席からの質疑応答では長編映画はいつ作るのか?とか(これは資金難でとん挫しているらしい)、日本では当分翻訳される予定がないらしいけれど、ルーヴルから依頼を受けた作品は是非出版して欲しいとか、色々と丁寧にかついい感じに慇懃に答えてくれました。
写真は公演後、ファンにサインとデディカスをするド・クレシーさん。(後光がさしてますね〜)
背が高く、ジダンのようなルックスの方でした。
ちなみにイラストは相手によってたぶん全部違うイラストだったんじゃないでしょうか?
私のは太ったおっさんですが、別の人のは痩せた男の後ろに船が通っているようなイラストでしたから。

いつもながら、細萱さんお疲れさまでした。
作家の全体像が分かる紹介と、今回の長期滞在も見据えての旅行記を中心とした質問はなかなか興味深かったです。

JUGEMテーマ:Bande Dessinee


2008.03.10 Monday ... comments(0) / trackbacks(0)
<< | 2/5 | >>